Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うもんとりものちょう

右門捕物帖(三)

佐々木 味津三

Lesen Sie 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 241.558 Zeichen · 480 Bildschirme

Aozora Bunko

笑うときだっても、泣くときだってもあるんだ。江戸八百八町、のべたらにね――」

「のべたらに何がどうしたというんだ」

「駕籠なんですよ。つじ駕籠なんだ。それもからっ駕籠がね、町じゅうのべたらに乗り捨ててあるんですよ。いえ、なに、こんなこたアなにもいまさらかれこれといやみったらしくいいたかねえんですがね、いってえ、あっしゃだんなのそのこたついじりが気に食わねえんだ。正月といやだれだっても気が浮きたって、じっとしちゃいられねえんだからね。せめて松の内ぐれえは、もっと生きのいいところを見せりゃいいのに。隠居じみたそのかっこうは、いったいなんのざまですかよ! だから、ついくやしくなって、けさ早くふらふらと江戸見物にいったんですよ」

「バカだな」

「え……?」

「ひとりでいいこころもちになりやがって、なんの話をしているんだ。駕籠はどうしたよ。町じゅうのべたらに乗り捨ててあったとかいう、からっ駕籠の話はどうなったんだ」

「だから、今その話をしているんじゃござんせんか。へびにだっても頭としっぽがあるんだ。しっぽだけ話したんじゃわからねえからね、江戸っ子のあっしともあろう者が、なんのために江戸見物に出かけたか、それをいま話しているんですよ。