Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のろいのダイヤモンド

呪の金剛石

野村 胡堂

Lesen Sie 呪の金剛石 (のろいのダイヤモンド) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.393 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

三

三

舞踊家の不思議な訪問も、忙しい私の頭を三十分とは煩わしませんでした。そのまま仕事に没頭して、忘れるともなく忘れて居ると、翌る日あの大騒ぎです。

あの大騒ぎと申しただけでも、当時の新聞記事で大抵お解りでしょう、舞踊家春日野ゆかりは、自宅応接間で、何者とも知れぬ相手のために、九死一生の重傷を負われたのです。

私は、警視庁詰の記者から、その話を聞いて、日頃懇意という程ではありませんが、昨日の今日で、少し気になることがあったもんですから、見舞かたがた飛んで行って見ると、家の中は上を下への騒動です。警察からもやって来て、女中のお栄に聞いたり、四方の状況も調査したり、いろいろ研究して居る様子ですが、肝腎の本人が昏睡状態で、手のつけようがありません。

何分重態で動かすことも出来ず、応接間をそのまま病室にして、川崎の三景園へ出て居る、これも踊り子の妹が、付きっ切りで世話をして居る有様です。

医師の診断によると、後頭部の傷は手斧の背のようなもので撃ったもので、脳震盪を起して居るが、レントゲンで診断したら、或は頭蓋骨を砕いて居るかも知れない。何分重態だから、助ったところで、当分失神状態は免れないだろう、という心細いものでした。