Japanische Klassiker mit Furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme
二
目を見はった、今松は。
そうして、飲んだ。
しじゅう飲んだ。
どんな汚い屋台店へ行って飲んでもなお、小佐治が養老の滝の水から汲んできたような素晴らしいものを飲ませてくれた。
ひとり幸福に傾けて酔っては、もうだいぶ現実のそれとはちがってしまっただろう美しい思い出の幻を目に追っていた。
※(歌記号、1-3-28)女房に似合うと誰が言うた
こちゃやりわせぬ 返しゃせぬウウウ
……いつかまたお艶仕込みの新内が口に上ってきた。
二
きびしかった大阪の寒さがだんだん緩んでいった。
古い木作りの夷橋や、開化仕立ての鉄の心斎橋から東に見える河内辺りの山々が、日一日と青味を増して見えるようになった。
奈良のお水取りがすんだ日からは、めっきり日ざしが春めいてきた。
堀江で木の花踊りが始まった。
それが真っ先の春の訪れみたようなものだった。
「雪になって木の花踊り打出され」こうした川柳があったけれど、ときどき大きく淡く春の雪の降るときがあっても、橋筋から溝の側かけてはそろそろ縁日が立ちそめた。
四月には広島へ漕ぎ戻って行く蠣船が、そこでもここでも今年最後のお客を争って、毎晩毎晩、道頓堀や土佐堀、京町堀の川面へ、賑やかに艶めいた灯影を落としていた。