Japanische Klassiker mit Furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme
今松はさっきとは別にキリリとした眉をしかめた。
ひどいのなんのってあんなことってあるだろうか。
去年の暮れの下席、千住の天王前の寄席だった。
ところが場末も大場末の千住の寄席のうえに、上野の公園の桜の枝なんか何本折れたかわからない、何十年来の大雪。
まるで芸人さんがやってきてくれなかった。
六人の無断休演があって、七回も高座へ穴があいてしまった。
前の人は下りてもう他の寄席へ行ってしまっているし、あとの芸人さんはまだやってきていない。
高座は空っぽにしてはおけない。たった一人だけ楽屋にいる今松がよんどころなくそのたんび高座へ上がっていった。
これだけでもいい加減、体裁の悪いところへもってきて、まだ落語家になったばかしの悲しさ、柳寿斎爺さんに教わった刀の銘を聞きにいく「波平行安」っておよそ他愛のない小噺をたったひとつ今松は知っているっきりだった。
しかたがないから、それをやった。
まあ最初の一回は、よかった。
きまりの悪さを押し隠して二回目も、同じ「行安」をやった。
三回目も、四回目もまた「行安」だった。いや五回目も、六回目も。面の皮千枚張りと言うが二千枚三千枚張りの供車にして同じ噺をしゃべり立てた。