Japanische Klassiker mit Furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme
立派な師匠たちが、楽屋で会うと声をかけて励ましてくれた。
「ありがとうございます」
「しっかりやります」
そのたんび今松は頭を下げた。
昨日までは宵から閉ねるまで一軒の寄席に居座っていて、あとからあとからやってくる芸人たちの下駄を直し、お茶を汲んで出し、みんなの羽織を畳み、帰る人には着せかけてやり、その合間合間には師匠から預った前の晩の皆の給金を渡したり、高座の火鉢を片付けたりまた出したり、御簾を下ろしたり上げたりしなければならなかった。
それが今日からはたとえ浅いところで七時がらみに身体があいてしまうとしても、一軒済ますとまた一軒。
掛け持ちができるようになったのだ。
早くも自分の後輩の前座たちが、
「兄さん……兄さん……」
と呼んでくれるようになったのだ。
しかも、こんなに早い時間で前座の足が洗えた人は、今までの柳派の仲間のなかでも、十人二十人とはないのだそうだ。
さすがにそれを考えると今松は、心のなかの雪洞へボーッと灯のさし入れられる思いがしたが、しかもその雪洞の灯の、絶え間なく吹き暴れる春の夜の嵐に、危うく掻き消されようとすることをなんとせん。