Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
おおぜいの村の人が集まって、とうとう一矢でその鹿を射とめた。ところが隣村の湯舟沢の方から抗議が出て、しまいには口論にまでなったことがある。
「鹿よりも、けんかの方がよっぽどおもしろかった。」
と吉左衛門は金兵衛に言って見せて笑った。何かというと二人は村のことに引っぱり出されるが、そんなけんかは取り合わなかった。
檜木、椹、明檜、高野槇、※――これを木曾では五木という。そういう樹木の生長する森林の方はことに山も深い。この地方には巣山、留山、明山の区別があって、巣山と留山とは絶対に村民の立ち入ることを許されない森林地帯であり、明山のみが自由林とされていた。その明山でも、五木ばかりは許可なしに伐採することを禁じられていた。これは森林保護の精神より出たことは明らかで、木曾山を管理する尾張藩がそれほどこの地方から生まれて来る良い材木を重く視ていたのである。取り締まりはやかましい。すこしの怠りでもあると、木曾谷中三十三か村の庄屋は上松の陣屋へ呼び出される。吉左衛門の家は代々本陣庄屋問屋の三役を兼ねたから、そのたびに庄屋として、背伐りの厳禁を犯した村民のため言い開きをしなければならなかった。