Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme
失礼ながら、あなた方がお聞きになっては少しも違わないとおっしゃる音を、わたくしが聞けば違ったと申すことがございます。人に災いの起る前にはその音を聞いていると、ひとりでにわかることがあるのでございます……それでございますから、わたくしは、気にかかる物の音色は、聞き過ごしに致すことはできないのでございます。そこで、今晩、聞きました尺八の音色は、近ごろ珍しいものでございました。わたくしはその音色を聞きながら、いろいろと想像を致しまして、ついつい、こんなところまで、おあとを慕って来たようなわけなんでございます。と申しますのは、その方は駕籠の中で尺八を吹いておいでになりましたんですが、わたくしと同じことに、眼の見えないお方なんでございます。眼の見えない方の吹くのと、眼の見える方の吹くのとは、私にはよくわかるのでございます。ところが、同じ眼の見えないに致しましても、そのお方の眼の見えないのと、私の見えないのとは性質が違うんでございますね。わたくしの眼は、全くつぶれてしまった眼でございますが、その方のは、どうかするとあきます、再び眼があくべきはずのものを、あかせて上げることができないのでございます。