Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme
その焚火と向い合わせに、背中から下ろした蔵太郎を坐らせて、余念なく火を焚いていたが、こちらを向いて、
「もし、お目ざめならば、一口召上って下さいまし」
こう言われてみると、秋の日に晴れて松茸狩に来たもののような気分です。
「どうしてまたこんなところまで、酒を持ち込んで来たのだろう」
竜之助はそれを訝りながら、懶げに起き直ろうとする鼻の先へ、例の土瓶と小さな茶碗をもって来ました。
「さだめし御不自由でしょうと思って、昨日のうちに、お酒とお米を少しばかりここへ持って来ておきました、山を通る時に松茸もありましたから、これも取って参りました、これを召上ってお待ち下さいませ、ただいま御飯を炊いて差上げますから、松茸の即席料理を、わたくしの手でこしらえて上げようと存じます、温かい御酒と、温かい御飯を差上げたいと思いまして」
酒を手に取らないうちに、竜之助は酔わされた心持です。口をつけると上燗に出来上っている酒の香りが、五臓六腑に沁み渡ります。
「ああ」
と言って咽喉を鳴らしました。温かい酒と、温かい飯の誘惑が、己れを物狂わしくするのを制することができません。
土瓶の中を立てつづけに飲みました。