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Japanische Klassiker mit Furigana

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てんしゅかくのおと

天主閣の音

国枝 史郎

Lesen Sie 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.941 Zeichen · 79 Bildschirme

Aozora Bunko

では此奴は引っ込まそうよ。その代り妾の素性だって、お前さんへは話さないからね。……お次はいよいよ本問題だ。ねえお前さん何んと思って、お前さんは尾張様へ取り入ったんだい?」

だが矢張り老人は返辞をせずに黙っていた。すると女は笑声を上げた。

「おやおや復もや無言の行だ。こいつも云うのが厭だと見える。だがね、お前さん、妾にはね、そのお前さんの目的がちゃあんと解っているのだよ。嘘だと思うなら云ってあげようか? そうだ遠廻わしに云ってあげよう。あんまりむき出しに云われたらお前さんだって可い気持はしまい。……お前さん天主閣へ上りたいんだろう? 決して人を上らせない、天主閣の頂上へさ。ホ、ホ、ホ、ホ、お手の筋だろうねえ」

女の声は暫く絶えた。

「さて」と女の声がした。「安心おしなさいよ邪魔はしないから。お前さんの出ようさえ気に入ったら妾の方から助けてもあげよう。そうさお殿様へ口添えして、上ることの出来るようにしてあげよう。だが只じゃあ真平だよ。物事には報酬がある。そいつを妾は貰い度いのさ。つまり換っこという訳さ。ねえ、お前さん何うだろう?」

「さあ」と老人はくすぐったそうに「私に出来ることならね」