Japanische Klassiker mit Furigana
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てんしゅかくのおと
天主閣の音
国枝 史郎
Lesen Sie 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.941 Zeichen · 79 Bildschirme
「そりゃあ出来るとも、お手の物なのさ」
「で、一体どんなことかな?」
「妾は人一人殺し度いのさ」
「ほほう」と老人は驚いたように云った。
「私に手助けでもしろって云うのか?」
「まあね、そうだよ、間接にはね」
「どんなことをすれば可いのかい?」
「機械を一つ造っておくれな」
「何、機械? どんな機械だ?」
「人を殺す機械だあね」
「匕首で土手っ腹を刳るがいいやな」
「そうしたら人に知れるじゃあないか」
「それじゃあ殺しても、殺したということの解らないような、そういう機械が欲しいのだな?」
「金的だよ、大中り」女の笑う声がした。「お前さんには出来る筈だ。人の心を見抜く機械、それを造ったお前さんじゃないか」
老人は暫く考えていた。
「だがな」と老人は軈て云った。「機械よりも薬の方がいい」
「毒薬なら痕跡を残すだろうに」
「残らないような薬もある」
「ああ然うかい、それは有難いねえ。妾ァどっちでもいいのだ。では其薬を妾にお呉んな」
「今は無い、二三日待て」
「ああ待つとも待ってあげよう。お前も随分の悪党だ。妾だって是れでお姫様じゃあ無い。悪党同志の約束だ。冥利に外れたこともしまい。では二三日待つことにしよう。