Japanische Klassiker mit Furigana
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てんしゅかくのおと
天主閣の音
国枝 史郎
Lesen Sie 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.941 Zeichen · 79 Bildschirme
……上下合わせて十六枚の歯よし是にも間違いが無い。……北側の鯱を調べてやろう」
屋根棟を伝わって走って行った。
鯱の背中へふん跨り、また香具師は調べ出した。
「いや有難え、変ったことも無い」
ホッと安心したように、こう呟いた香具師は、さすがに疲労を感じたと見え、額の汗を押し拭い、トントンと胸を叩いたものである。それから城下を見下ろした。
「絶景だなあ、素晴しいや」
いかにも絶景に相違無かった。
百万石の加賀の金沢、七十七万石の薩摩の鹿児島、六十二万石の奥州の仙台、大大名の城下町は、名古屋の他にもあったけれど、名に負う名古屋は三家の筆頭、尾張大納言家の城下であって、江戸、大阪、京都を抜かしては、規模の広大、輪奐の美、人口の稠密比べるものがない。その大都が夕陽の下に、昼の活動から夜の活動へ入り込もうとして湧き立っていた。
ゴーッというような鈍い騒音――人声、足音、車馬の響き、そういうものが塊まって、そういう音を立てるのであろう。蜒り折った帯のように、町を横断しているのは、西村堀に相違ない。船が二三隻よっていた。寺々から梵鐘が鳴り出した。
「何んの不足があるんだろう?」