Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.739 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

ことになりました。ブラジル移民計画の初期で、それは一つの流行でもあり、若くて野心的な人にとってはブラジルという国は一種の魅力でもあったのです。

秋田の故郷へ帰って、ブラジル行の準備を整え、いざ東京へ行こうという時、伯父の某がやって来て、

「金三郎、お前東京へ行くなら、丁度良い序だが、国木田のお染ッ子を上野までつれて行ってくれないか。此間っから東京へ奉公に出すことになっているが、一人で行くのは心細がるし、向うからは迎えに来てはくれず、此方から送って行くのは大変だ。お前が行くなら丁度良い塩梅だ、是非頼むぞ」

と否も応も言わせぬ頼みです。

藤波金三郎はハタと閉口しました。というのは、国木田のお染というのは、藤波金三郎にとっては命がけの恋人で、いろいろむずかしい家の関係があるばかりでなく、藤波の持って生れた弱気に煩わされて、この恋を言い出すこともならず、金三郎は自分の胸一つに畳み込んだまま、到頭我慢が出来なくなって、ブラジル行を決心した矢先だったのです。

この時藤波金三郎は二十五、国木田染子は二十一、金三郎は丸顔で背が低くて、至って風采の揚らない方でしたが、お染は鄙に稀なる――と形容された方で、色白で瓜実顔で、夢みるような眼や、赤い唇や、小野小町を生んだ国から出ただけの魅力は充分でした。