Japanische Klassiker mit Furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Lesen Sie 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.965 Zeichen · 169 Bildschirme
来るようになった妻の方は全然その頃のことを知らないので、そんな不二男さんの話にも珍らしそうに耳を借していた。
「日向さんのところはこの頃ずっと来ないの?」
「おととしひさしぶりで奥さんがお嬢さんをお連れになって、ひと夏お見えになっていました。――が、その冬に爺やが死んで、そのときは甥ごさんが見えられたっきり、それからはまだお見えになりません。」
「その死んだ爺やというのは僕も知っている爺やだろうけれど、おっかない爺やだったね。君んちの爺やとはずい分仲が悪かったんじゃあない。何んでも一度、あっちの爺やの畑の南瓜を君んちの爺やが何んとかしたとか云って、どういう行きがかりだったか、たいへん酔払って室生さんちの門の前まで来て、中へはいらずにいつまでも悪態をついていた事もあったね。」
「そんな事もありましたっけね。」不二男さんは少し苦笑いした。それから急に真顔になって、
「私なんぞも、これまであの爺やは飲んだくれで、因業な奴だとおもっておりましたけれど、死んでからいろいろ話を聞いてみると、かわいそうな爺やでした。……」
そう前置きをして、不二男さんも私達の隣りに腰を下ろしながら、何か思い出ふかそうに話し出した。