Japanische Klassiker mit Furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Lesen Sie 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.965 Zeichen · 169 Bildschirme
婆さんは何度もお礼をいってそれを受取りましたが、すぐには立去らずに、こんどはこれから頼って行こうとする横川在の先夫の娘のことを何かと話し出して、いまはそれが百姓家に嫁いでいて、かなり裕福に暮らし、これまでも折々に自分が訪ねていくと『おばあさんだけならいつでも引きとるから来なさるといい』と言って、帰りがけには必ず米や野菜なぞを一人ではとても持てないほど持たせてよこす事なぞをくどくどと繰り返していました。……
「そんな事があってから、一日おいて、三日目の朝、また三枝さんがいつものように一人でヴェランダで新聞を読んでいますと、何か向いの庭の中で聞きなれない人々の声に雑って爺やのしゃがれた声が聞えてくるので、どうしたのだろうと思っていました。そのうち爺やが二三人の見なれない男たちに指図しながら、そこらの植木を引っこ抜かせているのが見えて来ました。それと同時に、そこいらにはその春別荘の売れたとき爺やがちょっとした楓だとか、そのほか小さな植木だけをこちらに移し植えておいた、それをいま植木屋を呼んで売り払おうとしているのだという事が分かりました。『お前は好い娘があるんだから其処へ行け、おれ一人でならどうとでもして暮らして見せるから』