Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ようねんじだい

幼年時代・晩夏

堀 辰雄

Lesen Sie 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.965 Zeichen · 169 Bildschirme

Aozora Bunko

みたいようになるのを、やっとのことでじっと怺えていた。……

が、まんまと曳舟通りまで私達が出てしまうと、急に私は機嫌をなおした。そうして、自分の方から、たかちゃんの手を引張るくらいはしゃいで、その掘割に沿うて、いつも父と散歩にいくのとは反対の方へ――殆どまだ一ぺんも行ったことのない場末の方へずんずん歩き出していた。案内役のたかちゃんの方が、かえって不安そうについて来る位だった。見知らない、小さな木橋を二つ三つ過ぎると、もう掘割沿いの工場や倉庫なんかもずっと数少なになって、そこいらには海のような野原が拡がり出していた。

そういう野原の真ん中に、大きな、赤い煙突のある、一つの工場が見えかくれしていた。それがたかちゃんの父親の働いている硝子工場だった。彼女の話では毎日、彼女の父はその工場で、火の玉をぷうっと吹いては、さまざまな恰好をした硝子の壜を次から次へと作っているということだった。何べんもその工場へ父に会いにいったことのあるたかちゃんは、そういう父の超人的な仕事ぶりを、あたかも彼女の知っている唯一のお伽噺かなんぞのように繰りかえし繰りかえし私に話して聞かせたのだった。