Japanische Klassiker mit Furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Lesen Sie 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.965 Zeichen · 169 Bildschirme
口髭
午後からは折り紙のお稽古があった。例の少女のところでは、小間使いが一緒になって、大きな鶴をいく羽もいく羽も折っていた。私には折り紙なんぞはいくらやっても出来そうもないので、おばあさんにみんな代りに折って貰いながら、私は何かをじっと怺えているような様子をして、自分の机の上ばかり見つめていた。
その日行ったきりで、翌日から又私は、こんどはまるでお弁当の事からみたいに、幼稚園を休んでしまった。
しかし、その一ぺん見たっきりの、その異人のような、目の大きい、ちぢれ毛の少女は、他の優しい少女たちとはまるで異った風に、いかにも高慢そうな様子をして、私がいくら彼女に対して無関心を示しても、いつまでも私の記憶の裡に残っていた。……
口髭
子供の私は口髭を生やした人に何んとなく好意を感じていた。
私の父は無髭だった。それからまた私のおじさん達の中には、誰一人、口髭なんぞを生やしている者はなかった。彼等は勿論、例外だった。――若し彼等の中で一人でも口髭なんぞ生やしている者があったら、反って何かそぐわないような気がされ、子供の私にもおかしく見えたろう。――それに反して、うちへ来る客のなかで、私の特に好意をもった人々は、みんな口髭を生やしていた。