Japanische Klassiker mit Furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Lesen Sie 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.965 Zeichen · 169 Bildschirme
しかし、お竜ちゃんは、大きな、無恰好な数字が一めんに躍っているような私の帳面の方は偸見さえもしようとはしなかった。
突然、私は鉛筆の心を折った。他の鉛筆もみんな心が折れたり先きがなくなっているので、私は小刀でその鉛筆をけずり出した。しかしいそげばいそぐほど、私は下手糞になって、それをけずり上げない先きに折ってしまった。
お竜ちゃんは、そんな私をも見ているのだか見ていないのだか分からない位にしていたが、そのとき彼女の千代紙を張った鉛筆箱をあけるなり、誰にも気づかれないような素ばしっこさで、その中の短かい一本を私の方にそっと押しやった。
私も私で、黙ってその鉛筆を受取った。その鉛筆は、よくまあこんなに短かくなるまで、こんなに細くけずれたものだと思ったほど、短かくしかも尖っていた。私はそれがいかにもお竜ちゃんらしい気がした。私はすこし顔を赤らめながら、そんな先きの尖った短かい鉛筆で、いまにもそれを折りはしないかと思って、こわごわ数字を並べているうちに、だんだん自分の描いている数字までが何処かお竜ちゃんの数字みたいに小さな、顫えているような数字になりだしているのを認めた。