Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Lesen Sie 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.965 Zeichen · 169 Bildschirme
それが今度すっかり焼けてしまったので、その善後策を講ずるために、殆んど毎日のように父は出歩いていたので、私はいつも一人で留守番をしていた。私は僅かな本を相手に暮らしていた。「猟人日記」が好きになったのも、この時であった。私の部屋の窓からは、いまにも崩れそうな生墻を透かして、一棟の貧しげな長屋の裏側と、それに附属した一つの古い井戸とが眺められた。しかし、井戸端と私の窓との間には、数本、石榴の木やなんかがあったり、コスモスなどが折から一ぱい花を咲かせながら茂るがままになっていたので、その井戸に水を汲みに来る女たちのむさくるしい姿はどうにか見ずにすんだが、彼女等が濁った声で喋舌り合っているのは絶えず聞えてきた。その話し声は気になりだすと、どうもうるさくて仕方がなかったが、それでいて何を話しているのか聞いてやろうとすると、いくら耳を傾けても、はっきり聞きとれないほどの、それは遠さであった。それが私にはなんだか解りにくい田舎訛りで喋舌られているかのように思えた。
或る日、私の父は私に、いつまでこうしていてもしようがないから、私の学校の始まるまで、ひとつ田舎でも旅行して来ようかという相談を持ちかけた。