Japanische Klassiker mit Furigana
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しきぶこうじ
式部小路
泉 鏡花
Lesen Sie 式部小路 (しきぶこうじ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.847 Zeichen · 149 Bildschirme
序
一
序
日本橋のそれにや習える、
源氏の著者にや擬えたる、
近き頃音羽青柳の横町を、
式部小路となむいえりける。
名をなつかしみ、尋ねし人、
妾宅と覚しきに、世にも
婀娜なる娘の、糸竹の
浮きたるふしなく、情も恋も
江戸紫や、色香いろはの
手習して、小机に打凭れ、
紅筆を含める状を、垣間
見てこそ頷きけれ。
明治三十九年丙午十二月
鏡花小史
一
鳥差が通る。馬士が通る。ちとばかり前に、近頃は余り江戸向では見掛けない、よかよか飴屋が、衝と足早に行き過ぎた。そのあとへ、学校がえりの女学生が一人、これは雑司ヶ谷の方から来て、巣鴨。
こう、途絶え途絶え、ちらほらこの処を往来う姿は、あたかも様々の形した、切れ切れの雲が、動いて、その面を渡るに斉しい。秋も半ば過ぎの、日もやつ下りの俤橋は、小石川の落葉の中に、月が懸かった風情である。
空の蒼々したのが、四辺の樹立のまばらなのに透いて、瑠璃色の朝顔の、梢に搦らんで朝から咲き残った趣に見ゆるさえ、どうやら澄み切った夜のよう。
しかし、恰好をいったら、烏が宿ったのと、鵲の渡したのと、まるで似ていないのはいうまでもない。また真の月と、年紀のころを較べたら、そう、千年も二千年も三千年も少かろう。