Japanische Klassiker mit Furigana
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しきぶこうじ
式部小路
泉 鏡花
Lesen Sie 式部小路 (しきぶこうじ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.847 Zeichen · 149 Bildschirme
二十九
で、することは看護ですな。昇汞水の金盥と並べた、室外の壁の際の大きな器に、氷嚢から氷が溶けたのを、どくどくと開けていました。けれども、私は、その姿の、ぼッとしたのといい、背後だった形といい、折から、その令嬢というのを悩ます、病の魔のような気がして、こっちも病人だ、悚然としましたよ。
すぐにひょろひょろと室へ入って、扉を音もなくひとりでに閉めるとね、トタンに※と点いて来たと思った電燈が、すぐに忘れものを思い出して引返したように消えたでしょう。
(熱いよ! 熱いよ!)と言うでしょう。まさに病魔だと思った奴がじゃ、竹永さん、――可哀相に愛吉ですな。」
二十九
「愛吉、愛吉、」
と二ツいって二ツ頷いた、丹平の打悄れた物腰挙動、いかにもいかにも約束事、と断念めたような様子であった。
「全く病の魔と見えましてがすかな、争われないもんだ。青柳町の女房は――前申したごとくで、これをお夏さんの生命を縮める鬼のように思った。覿面、その剃刀で殺ったですでな。たとい人違いにもしろでがす。」
繰返して重ねて、
「争われないもんだ、争われないもんだ。」
しばらくして金之助が、
「しかし竹永さん、奴あればこそ、お夏さんは、我が柳屋の姉さんで、単に医学士山の井光起君に対するだけでは、尋常、勝山の娘に留まる。