Japanische Klassiker mit Furigana
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しきぶこうじ
式部小路
泉 鏡花
Lesen Sie 式部小路 (しきぶこうじ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.847 Zeichen · 149 Bildschirme
三十二
(もみじを御見物と見えますが、これから巣鴨へ抜けて、)先生、あの邸はね、私どもが居た池のふちから、通天門と額を打った煉瓦の石の門を潜って、やはり紅葉の中を裏へ出ると、卯之吉という植木屋の庭を、庚申塚の手前へ抜けられますわ。
(そこから、滝の川へでもお廻りか、)と尋ねると、(上野へ、)という。
私方々の紅葉の風説なんど、出鱈目に饒舌るのを、嬉しそうに聞いていなすったっけ、少し傾いて耳を澄まして、
(可いことね、)といった。
(はて、)私には何だか分らん。
(お囃子の笛が聞えますよ。)
ちっとも聞えん。
(はてな、)と少々照れたでがす。その癖心寂しいほど寂――」
花にはあらず七重八重、染めかさねても、もみじ衣の、膚に冷き、韓紅。
「――閑としているじゃがあせんか。」
三十二
「お夏さんが、
(聞えますよ。あら、オヒャラー、オヒャ、ヒューイ、ねえ、貴下、聞えましょう。)
と打傾いて、遠くへな、私を導いて教えるような、その、目は冴えたがうっとりした顔を熟と見ながら聞き澄ますと、この邸じゃありません。
もみじを隔てて、遥にこう、雲の中で吹き澄ますといった音色で、オヒャラー、オヒャ、ヒューイ、ヒヒャ、ユウリ、オヒャラアイ、ヒュウヤ、ヒュールイ、ヒョウルイヒ、と蒼空へ響いて、幽に耳に留りました。