Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おもいちがいものがたり

思い違い物語

山本 周五郎

Lesen Sie 思い違い物語 (おもいちがいものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.840 Zeichen · 88 Bildschirme

Aozora Bunko

「私は実に意外だったのですが、こちらへ来る途中ですね、宿屋へ泊るたびにどの宿屋の飯もひどく不味いんです、ことに飯の菜がなってない、まるで食えないんです、といったところで武士であってみれば、まさかおかずの文句は云えやしません、そこまでは私も品格を下げたくはないですから、つまり」

「つまりそれで箱の中の物を喰べたというわけか」

「いやそう仰しゃっては、それでは身も蓋もなくなります、そんな単純な気持では決してありません、私としてはこちらへ持って来て喜んで頂くつもりで、代金も自分で払いましたし重い思いをして持って来たものなので、そんな貴方の仰しゃるような」

「うるさい、黙れ、もういい」右衛門は唇を白くしていた、「――土産は貰ったことにする、礼も云う、過分であった……このとおり頭を下げた、これでいいだろう」

「いやそんな、礼を云って頂くほどの物ではございません、ほんのもう寸志ですから、どうぞもう」

「うるさい、わかったからあっちへゆけ、頭がきんきんしてきた」

側からみね女がめまぜをするので、泰三は心残りだったが、「ではせめてこれだけでも此処へ置きますから」と云って、からっぽの箱を右衛門のほうへ押しやり、おじぎをして去ろうとした。