Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

きょうふおう

恐怖王

江戸川 乱歩

Lesen Sie 恐怖王 (きょうふおう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.038 Zeichen · 133 Bildschirme

Aozora Bunko

それは縁側の雨戸が一枚あいていて、その中に蝋燭が一本、ションボリとともっているのであった。蝋燭の赤茶けたほの暗い光が、闇に慣れた目にはスクリーンの様に白く見えたのだ。

スクリーンに見えた理由はもう一つあった。その雨戸一枚分の長方形の中には、ボンヤリと人の姿があったのだ。

蝋燭が、焔を遠ざかる程段々薄れて行く丸い光で、その人物の胸から上を、浮き出す様に照らしていた。

「アッ、照子さん!」

鳥井青年は、思わず叫び相になって、やっと喰いとめた。

燭台のほのかな光にユラユラと揺れて、縁側の奥に坐っていたのは、まがう方なき布引照子であった。死んだ筈の恋人の姿であった。

やっぱりそうだ。照子さんは生きていたのだ。そして、僕が救い出しに来るのを待っていたのだ。照子さんの不思議な心の糸が、僕をここへ引きつけたのだ。

鳥井青年は、腋の下から冷いあぶら汗をタラタラ流しながら、泳ぐ様にして恋人の前に近づいて行った。

「マア、鳥井さん! よく来て下すったわね」

突然、蝋燭の赤茶けた円光の中の照子が、身動きもせず、表情も変えないで云った。

その様子が、本当に悪夢の中の様な気違いめいた感じであったけれど、青年はそんなことを疑っている余裕はなかった。