Japanische Klassiker mit Furigana
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ばしゃ
愛の挨拶・馬車・純粋小説論
横光 利一
Lesen Sie 愛の挨拶・馬車・純粋小説論 (ばしゃ) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.699 Zeichen · 78 Bildschirme
殊に学者の娘は、もう早や由良の心をその最初に揺り動かしていたように、一見陰鬱な底に不思議な美しさを潜ませているのである。
それで由良も信者の苦痛がなるほどとはっきり分って来るとそんな気の小さい男なればこそ、こうして頭の病いにもなったのであろうと思われて、なるだけ信者を安心させる工夫をしながら、学者の所へ出入するのはあなたの云うようにそれはなかなか危険なことだと思うから、自分ももう行くことはひかえようと云うと、それはお止しになったが良い、殊にあの学者はときどき狂人になるから何をするかしれないと云って、また喜ばしそうにからからと響く女性的な声を上げて意味もなく笑い出した。ところが、信者は笑いながらだんだん由良の方へ擦りよって来て、あたりがぼうぼうと末を枯らせた秋草ばかりになって来ると、ぴったりと由良に身をよせかけて来て、身もだえするようにくねくね身体をくねらせながら、「あーあ、あたしはあなたとこうして一緒に歩けて嬉しい。」と云い出した。由良は身の毛のよ立つ思いがして引き下ろうとしたが、さも安心しきったように身をよせかけているのを見れば、急に身を引くこともならず、そのまま仕方もなく黙って歩いていくと、「あたしは先日からあなたと一緒になりたくて困ったんだが、漸くこうして一緒になれてこんな嬉しいことはない。