Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme
葉子はしばらく両親と争っているうちにいつのまにか寝入ったと見えて、翌日目をさまして見ると、やはり自分が気味の悪いと思った所に寝ていた自分を見いだした。その夕方、同じ旅籠屋の二階の手摺から少し荒れたような庭を何の気なしにじっと見入っていると、急に昨夜の事を思い出して葉子は悲しくなり出した。父にも母にも世の中のすべてのものにも自分はどうかして見放されてしまったのだ。親切らしくいってくれる人はみんな自分に虚事をしているのだ。いいかげんの所で自分はどんとみんなから突き放されるような悲しい事になるに違いない。どうしてそれを今まで気づかずにいたのだろう。そうなった暁に一人でこの庭をこうして見守ったらどんなに悲しいだろう。小さいながらにそんな事を一人で思いふけっているともうとめどなく悲しくなって来て父がなんといっても母がなんといっても、自分の心を自分の涙にひたしきって泣いた事を覚えている。
葉子は貞世の後ろ姿を見るにつけてふとその時の自分を思い出した。妙な心の働きから、その時の葉子が貞世になってそこに幻のように現われたのではないかとさえ疑った。これは葉子には始終ある癖だった。