Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
格子戸は思ったよりも静かに、特に軋むということなく二寸三寸と開かれて行った。もう私の小さな体躯をよこにして這入れるようにまで開けると、私は素足になって玄関の中へ這入りこんだ。そととは異ったひいやりした湿り気のある涼しい空気と、庭のたたきの冷たさが踵裏から全身につたわってきて私はなお烈しい慄えを感じた。私は見た。其処にあった紅い緒の雪駄を――いきなりそっと掴むと殆んど夢か幻の間に格子をするりとぬけて庭から、柴折戸を渉って外へ出た。そのとき柴折戸に着物が引っかかったので無理に引いたので、柴折戸はやや高い軋るような音を立てた。私はそのとき殆んど眼まいを感じながら一散にかけ出した。
寺へかえると、私は懐中から女雪駄をとり出した。まだ新しい籐表のつやつやしたのであった。私はそれを凝乎と見詰めていると不思議にこの雪駄を盗み出したことが、非常に恐ろしい罪悪のように暫くでも持っていてはならないような、追っ立てられるような不安と焦躁とを感じ始めた。まるでそれは一つの肉体のような重さと、あやしい女の踵の膏じみた匂いとを漂わした。私はそれを懐しげに眺めるというよりも、自分がなぜこういうものを盗む気になったかということを考えた。