Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
そういうとき、父は一つの置物のように端然と坐って、湯加減を考えるように小首をかたげていた。夏は純白な麻の着物をまとうて、鶴のように痩せた手を膝の上にしている姿は、寂しさ過ぎて厳めしく見えた。時時、仲間の坊さん連のやってくる外は、たいがい茶室で黙ってくらすことが多かった。
私は私で学校をやめてから、いつも奥の院で自分のすきな書物を対手にくらしていた。学校は落第ばかり続いていたので、やさしい父は家にいて勉強したって同じだと言ってくれたのを幸いにして、まるで若隠居のように、終日室にこもっていた。
そのころ私は詩の雑誌である「新声」をとっていて、はじめて詩を投書すると、すぐに採られた。K・K氏の選であった。私はよく発行の遅れるこの雑誌を毎日片町の本屋へ見に行った。この「新声」の詩壇に詩が載ることは、ことに私のように地方にいるものにとっては困難なことであったし、実力以外では殆んど不可能なことであった。そのかわりそこに掲載されれば、疑いもなく一個の詩人としての存在が、わけても地方にあっては確実に獲得できるのであった。私は、本屋までの途中、載るか載らないかという疑惑に胸さわぎして、ひとりで、蒼くなったり赤くなったりした。