Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme
その中には、織田軍の侍大将と、今川方にも知られている佐々政次、岩室長門、千秋加賀守の首もあった。
見終ると、義元は、
「血ぐさい。血臭い」
と、顔を振って、後ろの幕を揚げさせた。
そして、鮮やかな真昼の空の乱雲を仰ぎ、
「やれやれ山間らしい涼風が立ちそめて来た。もはや刻限は午ちこうないか」
「いえ、午の刻は、はや過ぎておりましょう」
侍臣が答えると、
「道理で空腹を催した。昼飯をしたためよう。兵馬にも糧食の休みを与えよ」
「はッ」
と、旗下の人々が、令を伝えに出る。幕のうちは、同朋衆や小姓や賄方の者たちの動きで和んだ。折ふしまた、近郷の社や寺々や庄屋などが、連れ立って、祝の酒と土地の産物などを肴に持ち、
(陣お見舞に)
と、称して、献納して行った。
義元は、遠くから、その者たちに眼通りを与え、
「上洛の帰途には、追って、何かの沙汰を下すであろう」
と、善政を約束した。
そして土民の代表者らが立ち帰ると、
「よい折じゃ。酒をひらけ」
と、命じ、再び獣皮の褥にくつろいだ。
幕外の将たちも、こもごもに彼のまえへ来て、鷲津、丸根の勝軍につづいて、鳴海方面の戦況が、刻々、有利に展開していることを祝した。