Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

せっかく、御奉公人の端にたたれ、お上さまの御用、ようやくおん大事の身となりつる折へ、わが身や夫や、たくさんの同胞たち、お許の身にかかり候ては、朝夕は楽しかるびょうとも、何ぞにつけ、御奉公の足でまといにこそ候わめ。

さむらいの御奉公とは、あしたに死に、ゆうべに死し、まい日が覚悟のお勤めとこそ母もうけたまわれ、わたくしの楽しみ事など思うは、まだまだ早き慾とこそ、もったいのうぞんぜられ候。時折のお許が助けにて、母は、着るにもたべるにも、なんの不自由も今はなき身に候。ひゃく姓の仕ごとも、子をそだつるお役も、母のあたりまえなるつとめにこそあれ。むかしおもえば今の身すら、神さま、仏さま、御領主さまの御恩、朝夕手をあわせ暮しおり候。

ゆめ、わが身のことなど、心にかけたまわず、いよいよ御奉公大事に、おいそしみ給われ。母のよろこびも、それに過ぐるものはあらじ。そもじが、霜の夜の門べに云いのこしたるを、今もなお、母はわすれ侍らず、折にふれ思いいで居りそろ……

召使が、前にいるのも知らぬように、藤吉郎は母の文へ、ぼろぼろと涙をこぼして、二度も三度も読みかえしていた。

主人という者は、自分の召使っている奉公人へ、泣き顔などは見せないものである。