Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

かまうまいか」

「かまわぬ。かまわぬ」

又右衛門も弾んで、

「夜もすがらでも」

と、受けて飲む。

「はははは。夜もすがら、飲うで謡い明かしたら、嫁君に怒られまいか」

すると、藤吉郎がいった。

「なんの、宅の女房に、そういう躾け方はせぬ。至って貞女者でもござれば」

犬千代は、膝を詰めよせて、戯れかかり、

「これ、もうそのような、厚かましいことをいわるるか」

「いや、謝る。過言過言」

「ただはゆるさぬ。この大杯で――」

「大杯はごめん。小さいほうで頂戴する」

「なんのこの聟めが、意気地のない」

「いや、ごめん」

子らの遊び事のように戯れ合うのだった。だが、そんな酒の中でも、藤吉郎は、こん夜のみに限らず、常に暴酒はのんだ例しがない。幼少の頃の苦い記憶があって、癖の悪い酒のみや、無理強いされる大杯を見ると、その酒に身持のわるい養父の筑阿弥の顔が映って見えてくるのであった。その悪酒によく泣かされた母の顔がすぐ思い泛ぶからだった。

それと彼は、自分の健康の度をよく知っていた。育ちざかりを貧窮の中に伸びて来た体である。人すぐれた骨ぐみでは決してなかった。青年に似あわず人知れず体をいとうことを知っていた。