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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

「――殿。およろこび下さいまし。三河殿と和協の議、遂に、調いました。しかもほぼ御当家のお望みに近い約定の下に」

「できたか」

「はい。一決いたしました」

「そうか」

信長は、当り前な顔をしていたが、言葉の裏で、彼の心は、息づいていた。

「なお、細目にわたる箇条は、他日、鳴海城を会見の場所として、てまえと、松平家の石川数正殿とで出会い、談合を遂げんと約して立ち帰りました」

「然らば、三河殿始め家臣一統にも早、当家との和盟に異存なく、将来の聯携を約されたというか」

「御意にございます」

「大儀だった」

ここまで聞いてから信長ははじめて、彼の労に一言の犒いをいった。

君臣のあいだに、審さな報告から余談などが交わされたのは、それからのことであったらしい。

滝川一益が、御前を退って、下城して行ったのは、もう夜明け近くであった。

その夜明けの微光が、詰所、武者溜り、狭間廊下、厩の隅々にまでこぼれ渡った頃にはもう、

「御当家と三河殿との和盟が成立したそうだ」

という噂が、明るい朝の顔と顔との間に、呼び交わされていた。

近くまた、両家の代表が、鳴海城で会見を遂げ、正式に調印のうえで、明年――永禄五年正月には、岡崎の松平元康が、この清洲城へ初の訪問をして、信長様と対面あるだろうなどという内々の儀も、密やかながら逸早く家中には知れ渡った。