Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は、恍惚たるお客様であった。

「どうじゃな、もうお一杯」

「はあ」

「酒はおすきといわれたが」

「さればで」

「どうしたもの。一向に、お過しにならぬではないか」

「だんだんと、頂戴いたしますれば……」

と、席のすそに、蒔絵の銚子を前において、白々と、灯にまたたかせている寧子の顔を、穴のあくほど見入っていた。

寧子の眼が、ふと自分のほうへ動くと、彼はあわてて、

「いや、だいぶ今宵は」

などと、赤い顔を、撫でまわしたりした。

自分のほうが、寧子よりも、よほど取り澄ましているのを感じて、よけい顔が火照ったり、意気地なく思った。

また、心のうちで。

いずれ自分も、然るべき時機には、妻も持たねばならない。持つならば、かかる佳人を持ちたいものだ。

この女性なら、きっと、どんな貧困にも耐えるだろう。艱苦にも闘えるだろう。よい子どもも生むだろう。

現在の彼は、何よりも、家庭を持った後の、艱難と貧窮を考えるのだ。――由来、金銭には意をとめられない自分だし、将来はなおなお、山のような艱難が待っているような気のする自分だからである。

また。良人としての、彼が女性にのぞむものは、もちろん淑徳や容姿もあるが、大要は、