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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

――無智無学にひとしい、百姓をしている自分の慈母を、自分以上、大切に思ってくれる女性。

と、それから、

――陰にあって、表に立つ良人の働きを、いつも機げんよく、励ましてくれる女性。

と、こう二つの望みのほかは、前にいった貧乏を共に楽しむくらいな気概のある女性――であった。

(これなら! ……)と、頻りに、彼は思った。

もっとも、そう狙い出したのは、今夜に始まったことではなく、とうから、

(浅野の娘は佳い)

という世間の評などよりも先に目をつけて、ひそかに、贈り物などもしてみていたのであるが、こう間近く、沁々と、その信念を強めたのは、今宵が初めてだったのである。

「寧子」

「はい」

「ちょっと、木下殿に、おはなしがあるから、そちは失礼して、暫時、退っていやい」

又右衛門が、そういい出した。

さてはと、もう聟殿になったつもりで、いろいろな空想にひたっていた彼は、急に、顔がまた、かあっと熱くなった。

又右衛門は、すこし改まって、

「……時に、木下殿」

「はあ」

「折入っての、打ちあけばなしじゃが」

「はい」

「お気がるで、また、裏表ない其許と見こんで、おはなしするのじゃが」