Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

「落城が迫った焔の中でも、そればかりを案じていてくだされた。――そしてわし達を落して見事自刃されてしもうた。……勿体ない」

光秀は、もいちど、大地に両手をついて、大地を拝んだ。

「光春! ……。ここで二人は誓おう!」

「はい」

「生き残された光秀の生命は、自身のものであって自身のものではない。わしに代って死んだも同様な叔父御の生命もかかっている。また土岐源氏の御先祖方の遺命もかかっている。――この先、光秀はなおさら、徒らに無為な日を暮してはいられない」

「私とても、同じ心もちでござります」

「そうだろう。そうなくては相すまぬ。――きっと、大志を抱いて、お互いに、家名を興そうぞ。――なあ、光春ッ」

「やります! ……。城地や家臣もみな失って、裸の身一つになったのは、むしろ天の恩恵かもしれません。この二人をして、苦難の中に、研いてみろという神のお示しかも分りません」

「その心で、おぬしもやれよ。光秀もまた、もっともっと修行する。自分を文武の両道に徹しきるまで励んでみせよう」

「ああ、何か――」

光春は、胸を上げて、禽の啼き澄む梢を仰いだ。

「胸が、濶然と、開けたここちがします。