Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.406 Zeichen · 381 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は毎夜よく大睡した。眠りつけない夜などは知らなかった。母の夢も見なかった。亡父の夢も見なかった。眠ったが最後、天地も彼もけじめのない、一個の生態でしかなかった。

――だが。

起きると、途端に、彼は彼であった。

「ごんぞ! ごんぞ!」

「はあッ。……もうお目ざめでございますか」

「馬を出せ」

「へ……?」

「馬を曳け」

「お馬を?」

「さればよ。今朝からは早出仕だ。いや、こん夜も明夜も帰宅すまい」

「生憎と、御当家にはまだ、馬も厩もございませぬが」

「わからぬ奴、近所から借りて来い。遊山に乗るのではない、御奉公のため要るのだ。遠慮なく申して曳いて来い」

「でも……夜明けとは申せ、まだ外は暗うございますが」

「寝ていたら、門を叩け。わが事と思うからそちは尻ごみするのだろう。御奉公のためだ、差しつかえはない」

ごんぞは、あたふたと、衣服を纒うと、戸外へ飛んで行った。

何処からか一頭の駒を曳いて彼はもどって来た。門に出て、待ちかねていた無造作な主人は、何処から借りて来たかなどとも訊きはしない。もうわが物のように、それへ乗って、夜明けの闇を駈けていた。

彼は、工事に携わっている主なる職方の棟梁の屋敷を、六、七軒駈けまわった。