Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

そのうちに、姉婿の木下弥助も見え、小十郎も交じった。また、家臣の蜂須賀彦右衛門やら、誰彼も連なって、沸くがごとき盛宴となった。

――と思うと、いつのまにか、藤吉郎はそこにいない。

少し酒を醒ましに出たのであろう。母を寧子に預けて寝所へ見送るとひとり築山を歩いていた。

桜の若木が、ことしは少し花をもったが、他愛なく散りはてて、ただ夏近い山藤のにおいが、鼻をうつばかりそこらの闇に蒸れていた。

「ア。――待て」

「はい」

「誰じゃ。木蔭にいたのは」

「……はい」

「おう、半兵衛の妹、おゆうではないか。――何していた」

「あまりに、兄のお退りが遅うございますので、病弱な兄、もしやと」

「兄思いだのう。――いや兄妹の仲の美しいのは、見よいもの」

藤吉郎は側へ来た。彼女はあわてて、手をつきかけたが、藤吉郎は、無造作に、その手を握って、

「おゆう、わしをあの木蔭の茶室まで、連れて行け。……足許もおぼつかないほど酔うてしまった。そなたの手で、茶を一ぷくもらおう」

「……ま、お手を。……勿体ない、お離し下さい」

「いいよ。いいよ。かまわんというに」

「そ、そんなことを、遊ばしてはいけません」