Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme
「奇計があるか」
「いや、べつに」
「ないのか」
「奇計はございませぬ。ただいささか、成算はござりますが」
「その成算を聞こう。いかなる成算なあるか」
「築城の成らぬ原因は、水治と地の理の不利でござりましょうが」
「難渋はそれじゃと皆申しおる」
「自然の力には、私も抗し得ませぬ。先の三将方も、水治の難は御承知でありながら、工事のいたし方を仄聞するに、その自然の力へ向って、人力で打ち勝とうとなされたようです。間違いは、その精神の持ち方にあると存ぜられます――手前は凡人ゆえ、飽くまで、水の心のままに、水のうごきたいままに、水を導いて、水治の効を仕遂げてみる考えでございます」
「水の心とは」
「雨水の溢るるにも、大河の奔流にも、水その物には心があります。小さき人智人力をもって、その本然の心を無理にせき止めたり、歪めたりしようとすれば、一朝の暴風雨には、必ず怒れる洪水となって、工事の石材木はおろか、無数の人命をも、押し流してしまうに決っておりまする」
「藤吉郎」
「は」
「そちは、わしに政道を説いておるのか」
「いえ、洲股の築城のことでございます」
「難事は、水害の邪げのみではないぞ。