Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

「…………」

始終を黙然と聞いていた治郎左衛門の眼は、涙でいっぱいになった。

虎と綽名のある剛骨な半面には、人なみ以上な涙もろさと、義に感じる性情が強かった。

「……かたじけない」

拳を、眼にあてると、彼は洟をすすった。これが千軍万馬の中の猛将だろうかと、怪しまれるくらいだった。

「だ……だが藤吉郎どの、お身が腹を切るなどとは、もってのほかだ。切るといっても、治郎左衛門は、切らすわけに参らぬ」

「でも。そう致すしか、あなたへお詫びのことばもないし、なお、君公へ対しても」

「いや、何と仰せあろうとも、おん身に腹を切らして、拙者ひとり助かっては、義に欠ける。――てまえの武士が立たぬ」

「あなたを説いて、誘うたのもこの藤吉郎。主君の思し召しのほどを、考え過ったのも、この藤吉郎でござる。さすれば右へも左へも、それがしが罪を謝して切腹するのは当然です。どうか、お止め下さるな」

「何の、過誤といえば、この治郎左衛門の浅慮にもあったことだ。尊公が腹を切るには及ばん。――尊公の義心に愛でて、治郎左衛門の首は、尊公へ進上する。いざ、後ともいわず、拙者の首を、小牧山へお持ちあるがよい」