Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme

Aozora Bunko

世上の声が、まま聞えてくる折も折」

「ご推察いたしまする」

松原内匠が云った。

半之丞も大炊助も、俯向いた。――ふと、小六の眼がしらに光った悲涙を見て、はっと、胸を打たれたのだった。

「聞けよ。おぬしらも」

小六は、顔を向け、

「――この邸の屋根瓦には、卍の紋が苔さびてあろう。遠祖源頼政公が、義兵をあげられた時、高倉宮より賜った家紋と伝え聞いておる。その末が、足利将軍に仕え、蜂須賀太郎以来、失脚して野に下り、今のわしという者にまで――土豪とよばれて来ておるものの、これは時だ」

「……はい」

「血までは、野に朽果てておらぬ」

「…………」

「土豪よ、野武士の頭よと、いわれればいわるる程、小六正勝は、ひそかに誓うて、今に! ――と、この血を、この家名を、世人に示し直す日を待っていたのだ」

「いつも、伺っているお言葉にございまする」

「……さればこそ、おぬしらにも平常、野には住むとも、武を怠るな、身を戒めよ、弱きを扶けよと、厳ましく沙汰してあるに……。何ぞ知ろう、血のつながる甥めが、今なお、性根を改めずに、町人の家へ襲せて、夜盗を働いておろうとは!」

屹と、唇を噛むと、その時もう小六の肚は、決っていた。