Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme
「大きくなったなあ、わしは弥右衛門どのの友達の乙若だよ。織田様に仕えていた頃、同じ足軽組にいた者だ」
「思い出しました。そんなに私は大きくなりましたか」
「見せたいなア。……死んだ弥右衛門どのに」
そういわれて、日吉は、ほろりと涙をこぼしかけた。
「私のおふくろに、近頃、お会いになったことがございましょうか」
「つい無沙汰しているが、中村へは時折行くので、よそながら噂は聞いている。相変らず、よく働いていて結構だの」
「じゃあ、病気もせず、丈夫で暮しておりますか」
「お前こそ、どうして家へ行かないのだ」
「偉くなったら帰ります」
「顔だけでも、見せてやれよ。女親にはな」
「ええ……」
熱い瞼が、堪らなくなって、日吉はもう顔を外向けていた。――気がついてみると、乙若の姿も、もう彼方へ歩いているし、松原内匠も先の方を歩いていた。
残暑も、薄らいで来た。朝夕は秋を覚える。芋の葉が目立って大きくなった。
「この濠は、五年も浚渫ってないぞ。槍や馬の稽古ばかりしていたって、足もとに、こんな泥を溜めているようじゃあ……だめだ」
今。
村の篠刈の家へ、使いに出て、戻って来た日吉は蜂須賀家の古い濠をのぞいて独り呟いていた。