Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme
おっ母さんは変りないか」
と、手招きして訊いた。
「あ? ……。おらけえ」
日吉は、彼の手の下へ歩いて行った。黒い鼻の穴を上へ向けて、その人を正視した。
「うん……」
日吉を手招きした手は、日吉の汗くさい頭を押えて、大きく頷いた。
まだ二十歳そこそこの若い武者だった。この人も戦って来た兵隊のひとりかと思うと、日吉は、頭に載せられている鎖籠手の重い手も、ぞくぞくする程、光栄なここちがした。
(どうだ、おれの家は、こういうお侍と知ってるんだぞ)
という誇らしさを、並んで此方をながめている他の友達へありありと顔つきに示していた。
「弥右衛門の子。おまえはたしか日吉といったな」
「ああ」
「いい名だ。いい名だ」
若い武者は、彼の頭を一つ撫でまわした。そしてその手を、自分の革胴の腰帯のところへ当てると、少し身を反らしながら、日吉の顔を眺め直して、独りで何か笑い顔していた。
日吉は、大人にでも、女の人にでも、すぐなつッこい顔つきを示すのだ。これは生れ性とみえる。まして知らないおじさんから――しかも離れてばかり見ていた武者から、直に頭に手を載せてもらったので、大きな眼は忽ち得意にかがやいて、いつものお喋舌りがすぐ出て来た。