Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme
平手中務、林新五郎、青山与三右衛門、内藤勝介――などという良い家来を、備後守も、生前から阿呆な三郎信長の末を案じて、付けておいたので、その謀臣衆の協力が今日、織田の柱となっているので、お若い主君は、いわば置物同様にすぎない。――だから先君以来の老臣らがいるうちはよいが、ひとり逝きふたり死に、その柱がなくなる頃になると、織田の衰亡は、火をみるよりも瞭らかであろう。
それを、誰よりも待っている者は、信長の妻の父にあたる、美濃の斎藤道三であり、次いでは、駿河の今川家であると――このような見透しは、世間、どこで聞いても、一致していることだった。
「……おや?」
日吉は、草の中から、首を上げて見まわした。
鬨の声がする――
河すじの上流に、黄いろい埃が揚っていた。
「何だろ?」
立ち上がって、耳を澄した。そして顔いろを変えた。
「何も見えないが、凡事ではないぞ。……戦争か」
彼は、急に、草を蹴って、走り出した。
だが、五、六町も駈けて行くと、そうでないことが分った。彼が朝から待っていた織田家の家中が、上流の河原へ来て、もう合戦の稽古をしていたのだった。
川狩といい、鷹狩といい、水泳の調練といっても、この頃の大名のやることには、すべて戦備の心がけがあった。