Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme
ちょうど、土用の太陽は、曠野の真上にあって、火車のように灼けていた。水に濡れたままの兵や駒は、縦隊を作って蜿って来た。キチキチキチ……と青い螽が信長の姿に飛び交う。むうっと暑い草いきれが面を撫であげる。
水に浸って、鳥肌になっていた顔には、もう汗のすじが流れ出す。信長は時折、馬上で顔の汗を肱で横にこすった。もうそろそろ常の特色が出て、粗暴で不良性で、うつけといわれる挙動が、眼づかいにも、することにも、及んで来た。
「あれッ。何だろ。――待て待て、異な奴が、駈けて来るぞ」
突然。
信長がそういって、列を振り向いた時、それより早く、何事かに気づいた後方の武者たちが、列を脱けて、五、六名、ばらばらッと背よりも高い草むらの中へ、駈けこんでいたのである。
そこに、隠れていた者がある。
それは今朝からこの附近へ立ち廻って、信長へ近づく機会を半日も待ち構えていた日吉であった。
さっき、密かに信長の姿を川に見て、折もあらばと、うろついているうち警固の足軽に見つかって、脅されたので、帰城の道すじを考えて、道の辺の深い草むらの中に潜りこんでいたのだった。
(今だッ!)