Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme
と、彼は心に奮い立つと、その意志の前には、何ものも見えなかった。
ただ馬上の青年信長のすがたが、彼のらんらんたる眸のうちに、大きくいっぱいに在っただけであった。
――その時。
日吉は大声で、何か叫んだ。
が、何をさけんだか、自分でもわからなかった。
生命がけである。
信長の耳へ、その声も届かず、近づきも得ないうちに、警固の者の朱柄の長槍で、突き殺されるかもしれないのである。
それを怖れては、出来ないことなのだ。彼にとってはこの一瞬が、生涯の潮へ乗るか反るかであった。
草むらから身を起すと、信長の姿を目がけ、眼をつぶって、駈け出しながら、
「望みある者でございます。お召仕いくださいましッ。――主と仰ぎ奉って、身命を抛って、働きたい望みある者でございますッ!」
自分では、
駈けつつ、それだけの言葉を、大声で訴えたつもりではあるが、非常な昂奮をしていたし、とたんに、予測していた警固の士が行列を出て、自分と信長のあいだへ、槍を把って遮って来たので、気は上ずり、声は割れて、人には何と聞えたか、恐らく、意味をなしてはいなかったろうと思われる。
それになお――