Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme

Aozora Bunko

「それじゃて」

と、権六勝家は、眼で奥を指しながら、

「あの喰えぬ舅御、山城守道三ともある老獪なお人まで、嘴の青い殿に、煙に巻かれたといういわれは――」

「そうかも知れぬ」

「兄上……」

と、美作は先刻から、眉に険しい色を湛えて、辺りへ気を配っていたが、さらに、声をひそめて、

「今も咄嗟に、権六どのと、申し合わせたことでござるが、いっそのこと! ……」

「何。いっそのこと」

「お供も、僅か五、六名で、突然お越しあられたのは、いわば天の与えた絶好な機会ではござるまいか」

「殿をか?」

「そうです。――お中食を差し上げている間に、武者隠しへ、腕ききの者を忍ばせ、てまえ御給仕に出ますれば、合図と同時に、信長公を」

「もし、仕損じては」

「何の、庭面、廊下、到る所を、人数をもって取り囲ませ、多少の傷負を出しましょうとも、眼をつぶって刺し奉る臍を決めてかかれば……」

権六も云い足した。

「どうじゃ、佐渡殿」

さすがに林佐渡は――じっと俯向きこんでいたが、権六と美作のつよい眸に圧されて、

「ウム。……寔、今が、つかめと与えられた機会かもしれぬ。では」

「御決心か」

眼と眼を見合わせて、三名が、膝を立てかけた時だった。