Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme

Aozora Bunko

「この屋敷へはいると、生きて帰れないと今てめえがいったが、ほんとか?」

「ほんとさ」

「それは、どういうわけだ。いい加減なことをぬかしたら、素ッ首をひき抜くぞよ」

「ただは教えてやらないよ。おらに何かくれなければ嫌だ」

「ふう……ム」

天蔵は呻いて、日吉に向けていた疑心暗鬼を、茶わん屋の家全体に向け直した。星の空は吹き研がれて、明るいばかりだったが、土塀にかこまれたこの家の一劃は、屋の棟も下がるという丑満の闇に沈んでいた。

「――何が欲しい」

試みに彼がいうと、

「物なんか、欲しくない。おらを手下にしてくれれば」

と、日吉はいった。天蔵は、眼をみはって、

「じゃあ汝は、おれ達の仲間にはいりてえのか」

「うん」

「盗賊になりたいのか」

「うん」

「幾歳だ」

「十六」

「なぜ盗賊になりたい?」

「ここの主人は、おらをこき使ってばかりいるし、ここの奉公人は、おらを猿々と虐めてばかりいるから、おじさんみたいな野武士になって、仕返ししてやりたいんだ」

「よし。手下にしてやってもいい。――だが、それは汝が証を立ててからだぞ。さあ、前に云ったことの理をいえ」

「ここの家へはいると、みな殺しになるといったわけかい」