Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme

Aozora Bunko

……といっても、それは此方の計略ですから、私がこっそり、持ち出して渡してやる振りをして」

日吉は、得意げに、主人夫婦へすすめたが、捨次郎は固より御寮人の眉のあたりは憂いと恐怖に、黒ずんでしまっている。

「赤絵の水挿っていうのは、きょうのお招きに、蔵から出して、茶席でお使いになっていたあの陶器でございましょう。……野武士の頭なんて、ばかな奴でございますよ。何を欲しがるかと思ったら、あんな物を持って来いっていうんですから」

日吉は、くすくす笑いたいほどな顔して、そういったが、御寮人は化石してしまったように無言だし、捨次郎は、大きな吐息をついて、

「弱ったのう」

と考え込む。

「旦那さま、どうしてそんなに考えるんですか、陶器一つで、血を見ずにすむことを」

「あれは、わしが商売に扱っているような、ざらにある陶器ではない。明国にももう滅多にない品だ。その明国から、苦心して日本まで持って来た物だ。また亡くなられた祥瑞様のお遺品でもあるし」

捨次郎がつぶやくと、御寮人も一緒になって、

「堺あたりの茶道具屋では、千金もするという高価なものだよお前……」

恨みがましく、云いはしたものの、殺伐な野武士はなお恐かった。