Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 180.256 Zeichen · 361 Bildschirme
抵抗して皆ごろしに遭い、家屋敷まで焼かれてしまった実例など――何処の国々でもめずらしくない今の世の中だった。
やはり、男はこんな場合、ふつりと思いきりがいい、捨次郎もしばらくは、断ち難い愛着を断ちかねていた様子だったが、やがて、
「ぜひがない!」
同時に、少し生気を取りもどして、塗箪笥の小ひきだしから、土蔵の鍵を出し、
「持って行ってやれ」
ことばと共に、それを日吉の前へ、抛り出した。
年に似げない才覚、よく計ったと――日吉の仕方を、心では思いながら、むざむざ失う赤絵の水挿への執着に、忌々しさがこみあげて、賞められもしなかった。
日吉は、一人で蔵をあけた。そして一箇の箱を抱えて来て、鍵は主人の手へ返し、
「もう灯を消して、そっとお寝みになっていたほうがようございますよ。心配はありませんから」
とまで、注意をして、再び外へ出て行った。
どうか? ――と半ば、疑いながら待っていた渡辺天蔵は、日吉の手から、赤絵の箱を受け取ると、品物の容態を検めて、
「ウム。これだ」
と、顔の筋を解いた。
「じゃ、おじさん達、はやく引き揚げたほうがいいぜ。今、蔵から探し出す時、蝋燭をつけたもんだから、加藤様やほかのお侍たちも、眼をさまして、一廻り屋敷のまわりを見廻ろうかといってたから」