Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんだっしゅつき
日本脱出記
大杉 栄
Lesen Sie 日本脱出記 (にほんだっしゅつき) von 大杉 栄 (おおすぎさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 76.254 Zeichen · 151 Bildschirme
しかし行くさきはつい近くだったものと見えて、自動車はすぐにとまった。そして奴等は半分は前から僕を引きずりおろしながら、そして半分はうしろから僕をなぐるやら蹴るやらして、ある建物の中に押しこんだ。そこは同じセン・ドニの、ただ南北の区の違う、別な警察だった。そして入口のすぐ奥の広い室にはいると、そいつらが一どきに僕に飛びかかって来て、ネクタイやカラーやバンドや靴ひもを引きちぎって、そのまた奥の監房の中へ押しこんでしまった。
僕はそのままぐっすりと寝た。
翌日は朝早く二人の私服に護送されて、こんどは普通の自動車で警視庁へ行った。
一日またきのうと同じようなことの取調べだ。そして僕が前にパリにいた時の宿屋をいつまでも頑ばって言わなかったら、四、五人で一緒に自動車に乗っけて、どこへ行くのかと思ったら、一々僕のもといた宿へ寄って、そこの主人やお神に顔をたしかめさせた。みんなもう知っていやがったんだ。
そして帰って来ると、外事課の大きな室のそばに一室を構えている、たぶん課長だろうと思う、警視が、
「君は大杉栄と言うんだろう。」
と図星をさしやがった。そこまで分っているんなら、もう面倒臭い、何もかも言ってしまえときめた。