Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
二階に絨緞が敷かれ洋館になった。お母さんが珍しく外出すると思ったら月琴を習いにゆくのだった。譜本をだして父に説明していた、父は月琴をとって器用に弾いた。子供のおり富本を習った母よりも長唄をしこんでもらっている私たちの方がすぐに覚えて、九連環なぞという小曲は、譜で弾けた。チンチリチンテン、チリリンチンテンと響くこの真ん丸い楽器がひどく面白かったが、練習にゆくところが勝川のおばさんであろうとは随分長くしらなかった。
私の家の外面的新時代風習はすぐ幕になってしまって、前よりも一層反動化したが、世間では清楽の流行はたいした勢いだった、月明に月琴を鳴らして通る――後にはホウカイ屋というのも出来たが――真面目で、伊太利の月に流すヴィオリンか、あるいは当時ハイカラな夫人がマンドリンを抱えているような、異国情緒を味わおうとしたのだった。
私の家で、急激な母の変り方が、すぐまた前にもどったのに面白い些細な訳があった。それは私たちをとても可愛がった酒屋が、利久そばやの前側にあって、隣家の家一軒買って通りぬけの広い納屋にした空地があるので、いい私たちの遊び場だった。二月の末になると赤い布をかけた白酒の樽が並べてあるのをかき廻しても叱りもしなかった。